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ライフセービングの技術

救命処置(心肺蘇生法とAEDの使用)


心肺蘇生法は必須項目として第一に挙げられます。心肺が停止した状態では一刻を争います。救急車が到着するまでの時間に行うことで傷病者のその後の社会復帰に大きく影響します。そのためできるだけ多くの人がこの技術を習得する必要があるといえるでしょう。

救命の連鎖

図は呼吸が停止した場合(呼吸停止数分後には心臓も停止する)、人工呼吸や心肺蘇生法を早くすればするほど蘇生する割合が高くなり、遅ければ遅いほど死亡する割合が高くなることを示しています。

これを見ると、呼吸停止2分後に人工呼吸を始めると90%くらいの確立で生命を救えますが、3分後は75%、4分後は50%、そして5分後は25%となり、10分後にはほぼ0に近くなります。また、脳が酸素なしで生きられる時間はわずか3〜4分といわれています。ただし、水温、気温、体温により状況が変化します。一般的には低いほど蘇生の確立があがります。

では、119番に電話してから救急車が到着するまでどれくらいかかるでしょうか。全国平均で5〜6分かかってしまいます。
したがって、心肺が停止した傷病者をそのまま放置して救急隊に引き渡したのでは、仮に生命を救えたとしても元の社会生活ができるまで回復させることは非常に困難になります。
そこで、このような場合には一刻も早く適切な応急手当を行う必要があります。

そして、このような状況の多くは家庭内で起こります。つまり手当てを行う人は他のだれかではなくあなた自身なのです。

心肺蘇生法とAEDの手技

反応の確認 ・倒れている人の額に手を置き、耳元で徐々に声を大きくしながら話しかけます。
・同時に肩を叩き反応を見ます。

*呼びかけなどに対して目を開けるか、なんらかの返答または目的のある仕草がなければ「反応なし」と判断します。
助けを呼ぶ ・反応がなければ大きな声で「誰か来て下さい、人が倒れています。」と助けを求めます。
・協力者が来たら「あなた119番通報してください。」、「あなたAEDを持ってきてください。」、「だれか心肺蘇生法できる方いませんか」と要請します。
*協力者がいない時はまず自分で119番通報することを優先します。
呼吸の確認 ・倒れている人が正常な呼吸(普段どおりの息)をしているかどうか確認します。
・10秒以内で、胸や腹部の上下動を見ます。
*次のいずれかの場合には「正常な呼吸なし」と判断します。
・胸や腹部の動きがなく、呼吸音も聞こえず、吐く息も感じられない場合。
・約10秒間確認しても呼吸の状態がよくわからない場合。
・しゃくりあげるような、途切れ途切れに起きる呼吸が見られる場合。
胸骨圧迫 ・正常な呼吸が見られない場合、ただちに胸骨圧迫を開始し、全身に血液を送ります。
・倒れている人の胸の真ん中に片方の手の付け根を置き、もう一方の手をその手に重ねます。
・肘をまっすぐに伸ばして手の付け根の部分に体重をかけ、倒れている人の胸を圧迫します。
 圧迫の深さは少なくとも5cm。
 圧迫の速さ圧迫の速さは少なくとも1分間に100回の速いテンポで30回連続して絶え間なく圧迫します。
 圧迫は強く・速く・絶え間なくを意識します。
・押した腕を戻す時は倒れている人の胸がしっかり戻るまで十分に圧迫を解除します。
*疲れるのでもし救助者が2人以上いる場合は2分間(5サイクル)程度を目安に交代して絶え間なく続けることが大切です。
*心肺蘇生法を中止してよい条件は以下のとおりです。
・救急隊に引き継いだ時
・傷病者が動き出す、うめき声、正常な呼吸が出現した時
 気道確保    ・倒れているいる人のおでこの髪の毛の生え際に手刀を置き、逆側の手の人差し指と中指で傷病者の顎の骨を引っ掛け、顎を上方に反らせます。
*こうすると気道という空気の通り道が広がります。
*頚部の損傷が疑われる場合(プールで頭から飛び込み頭を強く打った等)は首は動かさずに下あごを持ち上げる下顎挙上という手法をとります。
人工呼吸 ・気道確保したままの状態でおでこに当ててある手の人差し指と親指で倒れている人の鼻をつまみます。この時におでこから手が離れないように注意します。
・自分の口を大きく開けて倒れている人の口を覆い空気が漏れないようにして、息を約1秒かけて吹き込みます。倒れている人の胸が持ち上がるのを確認します。
・いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込みます。
*できるだけ簡易型の感染予防シート等を使用します。
*倒れている人に出血がある場合や感染予防シートが無いなど、口対口人工呼吸がためらわれる場合には、人工呼吸を省略しす。
胸骨圧迫と人工呼吸の繰り返し ・胸骨圧迫を30回連続して行った後に、人工呼吸を2回行います。
・この胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせ(30:2のサイクル)を、救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続けます。
AEDの到着と準備 ・AEDを倒れている人の頭の横に置き、ケースから本体を取り出します。
・蓋を開け電源ボタンを押します(機種によっては蓋を開けると自動で電源が入ります)。以降は音声メッセージとランプに従って操作します。
・倒れている人の衣服を取り除き電極パッドを袋から取り出し粘着面を倒れている人の胸部にしっかりと貼り付けます(貼り付ける位置はパッドに絵で表示されています)。
*衣服を取り除く際は倒れている人に、手当てのため取り除く旨を声がけします。また、プライバシー保護のため周囲から見えないようタオルやコートなどでの目隠しの協力を要請します。
心電図の解析 ・電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。
・「心電図解析中です、みなさん離れてください!」と注意を促し、誰も倒れている人に触れていないことを確認します。一部の機種では解析ボタンを押す必要があります。
電気ショック
・AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。充電には数秒かかります。
・充電が完了すると「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージが出て、ショックボタンが点灯し、充電完了の連続連続音が出ます。
・充電が完了したら「電気ショックを行います。みなさん離れて!」と注意を促し、自分も含め誰も倒れている人に触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。
*電気ショックが加わると、倒れている人の腕や全身の筋肉が一瞬けいれんしたようにビクッと動きます。
心肺蘇生法の再開 ・電気ショックが完了すると「ただりに胸骨圧迫を開始してください」などの音声メッセージが流れますのでこれに従って直ちに胸骨圧迫を再開します。胸骨圧迫30回、人工呼吸2回の組み合わせを続けます。
*心肺蘇生法を再開して2分経ったら、AEDは自動的に心電図の解析を再び行います。心電図の解析、電気ショック、心肺蘇生法の再開のサイクルを2分間おきに繰り返します。

映像資料